スタートアップの知財流出を防ぐ契約管理 締結すべき契約とNDAの注意点

スタートアップにおける最大の資産は「人」と「アイデア」です。
しかし、従業員や業務委託先との契約管理を怠ると、知財流出・競合流出という重大なリスクに直面します。

この記事では、スタートアップにおいて知的財産を守るために、スタートアップが従業員・委託先と締結すべき契約と、管理ポイントを解説します。

1. 従業員・委託先との契約の重要性

(1) スタートアップの特徴

スタートアップの現場では、次のような重要情報が日々生まれます。

  • 新技術、新サービスの開発
  • 顧客情報、営業戦略の構築

これらが無断持ち出し・流出した場合、ビジネス継続自体が危ぶまれるため、初期段階からの厳格な契約・管理が不可欠です。

(2) 従業員・業務委託先と締結すべき主な契約

ア. 従業員との契約
契約書名 内容例
秘密保持契約(NDA) 在職中・退職後も秘密情報の漏洩禁止
知的財産権帰属契約 業務成果(発明・著作物など)の会社帰属
競業避止義務契約(※慎重な設計が必要要) 退職後の競業行為を一定期間禁止

これらを雇用契約とは別に、明示的に締結しておくことが推奨されます。

イ. 業務委託先との契約
契約書名 内容例
業務委託契約(請負・委任契約) 成果物の著作権・特許権の帰属明記
秘密保持契約(NDA) 委託中・終了後も秘密保持義務

特に外部エンジニア、デザイナー、マーケターなどに業務委託する場合、知的財産が含まれる成果物の知財帰属を明確にしていないと、後々大きな問題に発展するリスクがあります。

(3) NDA(秘密保持契約)締結時の注意点

NDAの形だけでは意味がありません。実効性ある内容設計が重要であるため、次の点に注意が必要です。

  • 守るべき情報を明確に定義する
  • 例外条項(公知情報・自己開発情報など)も適切に規定
  • 秘密保持期間は「無期限」または「合理的期間」に設定

2. まとめ 「人から情報が漏れるリスク」と常に戦う意識を

スタートアップでは、社内外問わず「人」から情報が漏れるリスクを常に意識し、従業員向け管理・業務委託先向け契約をシステマティックに整備・運用することが成功の鍵となります。

法務体制を甘く見ると、成長スピードの前に破綻リスクが表面化するため、弁護士と共に法務体制を確立することが重要です。

そのため、スタートアップ知財・NDAに不安がある場合は、弁護士等の専門家に相談することが重要です。

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